部屋が決まり、申込書を書く段階になって「契約者はどちらにしますか?」と聞かれる。家賃を半分ずつ払うつもりでも、賃貸の契約書に契約者として名前が載るのは一人だけという物件もあります。
契約者は、家賃の支払い義務や更新・解約の手続きを負う立場です。二人の関係が続く限り意識しない場面も多いですが、転勤や同棲の解消のときに名義の違いがはっきり表れます。この記事では、契約名義を決める前に二人で確認したいことを整理します。
契約者・同居人・世帯主の違い
まず、似た言葉の意味を分けておきましょう。
| 言葉 | 意味 | 決まる場面 |
|---|---|---|
| 契約者(借主) | 貸主と賃貸借契約を結び、家賃の支払いなどの義務を負う人 | 賃貸借契約 |
| 同居人 | 契約者と一緒に住む人として契約書に記載される人 | 賃貸借契約 |
| 世帯主 | 住民票の世帯を代表する人 | 市区町村への届出 |
国土交通省の賃貸住宅標準契約書(平成30年3月版)では、頭書に「借主」と「同居人」の欄が分かれています。また、記載した同居人に新たな同居人を追加する場合は、借主が貸主に通知しなければならない行為として挙げられています。実際の契約書では承諾が必要とされている場合もあるため、手元の契約書で確認してください。
世帯主は賃貸契約とは別に決まります。契約者がAでも、住民票の世帯主がBということもあります。住民票の扱いは同棲の住民票・世帯主はどうする?で解説しています。
契約者はどちらにする?
契約者を選ぶときに二人で並べたい観点は、次の4つです。
収入
入居審査では、家賃に対して契約者の収入が十分かを見られます。どちらの収入で審査を通すか、または二人の収入を合わせて審査してもらえるかは、物件や保証会社によって違います。
勤続・雇用形態
勤続年数や雇用形態を審査で確認されることがあります。転職したばかりの人を契約者にする場合は、審査に必要な書類を早めに確認しておきましょう。
住宅手当
勤務先の住宅手当が「賃貸借契約の名義人であること」を条件にしている場合、手当を受ける人を契約者にする必要があることがあります。二人とも手当の条件を確認してから名義を決めると、後から変更する手間を避けられます。詳しくは同棲でも住宅手当・家賃補助はもらえる?をご覧ください。
今後の住み方
転勤の可能性がある、どちらかが職場の近くに引っ越す予定があるなど、将来どちらが住み続ける可能性が高いかも考えます。片方が退去してもう一人が住み続ける場合、名義の変更や再審査が必要になることがあります。
二人とも契約者にできる?
物件によっては、二人がそれぞれ契約者になる連名契約(共同名義)ができることがあります。二人とも家賃の支払い義務を負う形です。
| 比べる点 | 一人が契約者 | 二人が契約者(連名) |
|---|---|---|
| 審査 | 契約者一人の収入などで審査 | 二人の収入を合わせて審査される場合がある |
| 家賃の支払い義務 | 契約者が負う | 二人とも負う(詳細は契約内容による) |
| 保証人・保証会社 | 契約者について | 二人それぞれに求められる場合がある |
| 片方の退去 | 契約者が退去するなら名義変更や再契約が必要になり得る | 契約の変更や結び直しが必要になり得る |
| 対応している物件 | 二人入居可の物件で選びやすい | 物件や貸主によって対応が分かれる |
連名契約に対応しているか、どのような条件になるかは、物件ごとに違います。申込前に不動産会社に確認してください。
家賃を折半していても契約者は一人?
二人で家賃を折半していても、契約書上の契約者が一人であれば、貸主に対して家賃を支払う義務を負うのはその人です。二人の間で「半分ずつ払う」と約束していても、それは二人の間の取り決めで、貸主との契約内容を変えるものではありません。
そのため、契約者でない方の負担分は、いつ、いくらを、どの方法で渡すかを決めて記録しておくことが大切です。たとえば家賃12万円を折半するなら、毎月25日までにBからAの口座へ6万円を振り込む、と決めておきます(説明用の例)。
家賃の分担方法自体は、折半のほか、手取りの比率で分ける方法もあります。仮に手取りがA25万円・B20万円なら、手取り比ではAが約6万6,667円、Bが約5万3,333円です。家賃の上限の決め方は同棲の家賃はいくらまで?で紹介しています。
契約名義によって変わること
| 場面 | 契約名義で変わること |
|---|---|
| 更新 | 更新の手続き、更新料の支払いは契約者が行う |
| 解約 | 解約の申し入れは契約者が行う。標準契約書では30日前までの申し入れ |
| 退去 | 原状回復の費用は、貸主と契約者との間で精算される |
| 家賃 | 滞納があった場合、貸主から請求を受けるのは契約者や保証人 |
| 同棲解消 | 契約者が出ていく場合、残る人は名義の変更や新たな契約が必要になり得る |
同棲を解消するときに困りやすいのは、契約者が先に出ていき、もう一人が住み続けるケースです。そのまま住み続けられるとは限らず、再審査や再契約が必要かを管理会社に確認します。敷金の返還や退去費用を二人でどう分けるかは、同棲を解消するときのお金の確認手順で整理しています。原状回復の考え方は、国土交通省の原状回復をめぐるトラブルとガイドラインも参考になります。
住宅手当がある場合
住宅手当の条件に「契約名義」が入っていると、名義を誰にするかが手当の有無に直結します。
- 手当を受ける人が契約者になる必要があるか
- 二人とも条件を満たすことができるか(連名契約で条件を満たすかも含めて)
- 家賃を本人の口座から支払う必要があるか
社宅や借り上げ社宅の場合は、会社が契約者になることもあります。その場合の同居のルールは、社宅・借り上げ社宅で同棲できる?で確認してください。
契約前チェックリスト
- [ ] 二人入居が可能な物件か確認した
- [ ] 契約者を誰にするか、連名契約ができるか確認した
- [ ] 契約者でない方を同居人として申告する方法を確認した
- [ ] 二人とも住宅手当の条件(名義・世帯主など)を確認した
- [ ] 保証会社・連帯保証人の条件を確認した
- [ ] 更新料、解約予告の期限、退去時の費用負担を契約書で確認した
- [ ] 家賃の振込方法と、二人の間の精算日を決めた
- [ ] 契約者が退去する場合に、残る人が住み続けられるか確認した
- [ ] 初期費用の分担と、立て替えた場合の精算方法を決めた
初期費用の見積もりと分担は、同棲の引っ越し初期費用の記事と初期費用シミュレーターで確認できます。部屋探しの段階の比べ方は同棲の部屋探しを参考にしてください。
よくある質問
契約者でない方は、契約書に何も書かれない?
標準契約書では、同居人の欄に氏名や年齢を記載する形になっています。申込時に同居人として申告していない人が住み始めると、契約違反とされるおそれがあります。
途中で契約者を変更できる?
名義の変更ができるか、再契約が必要か、費用がかかるかは貸主・管理会社によって違います。結婚や同居の解消などで変更したい場合は、まず管理会社に問い合わせましょう。
契約者になった方が家賃を多く払うべき?
契約者であることと、二人の間の負担割合は別に決められます。契約者の責任が重いことを考えて負担を調整する二人もいれば、折半のままの二人もいます。決めた内容は記録しておきましょう。
まとめ
- 契約者は家賃の支払いや更新・解約の義務を負う人。同居人、世帯主とは別の立場
- 名義は収入、勤続、住宅手当、今後の住み方から考える
- 連名契約ができるかは物件次第
- 家賃を折半していても、契約者が一人なら貸主への支払い義務はその人にある
- 契約者が退去するときに残る人がどうなるかを、契約前に確認しておく
家賃と生活費全体の分担は、生活費の分担シミュレーターで試算できます。