同棲を始めるときは、部屋探しや家具選びに目が向きがちですが、役所への届出、住所変更、電気・ガス・水道の手続きなど、期限のある手続きもいくつもあります。しかも二人分です。どちらがやるのか決めないまま引っ越しの日を迎えると、「相手がやってくれたと思っていた」という抜け漏れが起きやすくなります。
結論から言うと、同棲の手続きは次の4種類に分けると整理しやすくなります。
| 種類 | 主な手続き | 期限の考え方 |
|---|---|---|
| 役所の手続き | 転出届、転入届・転居届、マイナンバーカードの住所変更 | 転入届・転居届は引っ越し後14日以内と法律で決まっている |
| 住所変更 | 郵便の転送、運転免許、銀行・クレジットカード・携帯電話・保険 | 運転免許は「速やかに」。郵便の転送は引っ越し前に申し込む |
| ライフライン | 電気、ガス、水道、インターネット | ガスの開栓は立ち会いが必要なことが多く、予約が要る |
| 会社・契約 | 勤務先への住所・通勤経路の届出、住宅手当、賃貸の契約者・同居人 | 勤務先の規程による。住宅手当や社宅は引っ越し前に確認する |
この記事では、引っ越しの日を基準に、時期ごとにやることを一覧にします。住民票を同じ世帯にするか、世帯主をどちらにするかの考え方は、同棲の住民票・世帯主はどうする?で詳しく扱っています。
この記事は手続きの全体像を整理するためのものです。届出の方法、受付時間、必要書類は市区町村や事業者によって異なるため、実際の手続きの前にそれぞれの公式の案内を確認してください。
時期別の手続きの早見表
| 時期 | やること | 二人のどちらが |
|---|---|---|
| 1〜2か月前 | 今の部屋の退去連絡(解約予告期間の確認)、新居の契約、勤務先への確認(住宅手当・社宅・通勤手当) | それぞれ。新居の契約は契約者 |
| 2週間前〜前日 | 転出届(別の市区町村へ引っ越す場合)、電気・ガス・水道・インターネットの停止と開始の連絡、郵便の転居届 | それぞれ。新居のライフラインはどちらか一人 |
| 当日 | ガスの開栓の立ち会い、電気・水道が使えるかの確認、旧居の明け渡し | 新居に先に入る方 |
| 引っ越し後14日以内 | 転入届・転居届、マイナンバーカードの住所変更、国民健康保険の手続き(加入している場合) | それぞれ。二人で行くと世帯の届出を一度に確認できる |
| その後なるべく早く | 運転免許、銀行・クレジットカード・携帯電話・保険・通販の住所変更、勤務先への住所変更の届出、車検証(車がある場合) | それぞれ |
同棲準備のやることリストに引っ越し予定日を入れると、物件探しから転入届までの手続きを、期限の日付つきで一覧にできます。
引っ越しの1〜2か月前
今の部屋の退去連絡
二人とも一人暮らしをしている場合は、二人分の退去連絡が必要です。賃貸借契約には「退去の1か月前までに連絡」など解約予告期間が決められていることが多く、2か月前の物件もあります。新居の入居日と退去日が重なる期間は家賃が二重にかかるため、二人の契約書の予告期間を並べて、退去日を決めましょう。
新居の契約者と同居人
賃貸の申込みでは、契約者(借主)と同居人を記入します。契約者をどちらにするかは、入居審査、勤務先の住宅手当の条件、解消したときに住み続ける人によって決めるのが基本です。比べ方は同棲の賃貸契約者はどっち?で紹介しています。
勤務先への確認
勤務先によっては、住宅手当・家賃補助の条件に「契約者本人であること」「世帯主であること」などが決められています。住民票の届出の内容によって手当が変わることもあるため、転入届を出す前に規程を確認しておくと安心です。
| 確認すること | 詳しい記事 |
|---|---|
| 住宅手当・家賃補助の条件(契約者、世帯主、同居人の扱い) | 同棲でも住宅手当・家賃補助はもらえる? |
| 借り上げ社宅で恋人と住めるか、同居の申請 | 借り上げ社宅で同棲できる? |
| 通勤経路の変更と通勤手当の届出 | 勤務先の規程 |
初期費用の準備
敷金・礼金・仲介手数料などの初期費用は、契約時にまとめて支払います。二人でいくら出すかは、この時期に決めておきます。目安は同棲の初期費用シミュレーターで計算でき、見積書の確認項目と分担の決め方は同棲の引っ越し初期費用で紹介しています。
引っ越しの2週間前〜前日
転出届(別の市区町村へ引っ越す場合)
今と別の市区町村へ引っ越す人は、今住んでいる市区町村に転出届を出します。住民基本台帳法では、転出届は原則として引っ越す前に出すものとされています。何日前から受け付けるかは市区町村によって違うので、今の市区町村の案内を確認してください。同じ市区町村の中で引っ越す場合は、転出届は不要で、引っ越し後に転居届を出します。
マイナンバーカードを持っている人は、マイナポータルの引越しワンストップサービスで転出届をオンラインで出し、転入先の市区町村に来庁する予定を伝えられます。ただし、転入先では来庁して転入届を出す必要があります。オンラインの転出届は手続きの完了まで数日かかることがあり、完了前は転入の手続きができないと案内している市区町村もあるため、余裕をもって申し込みましょう(例:静岡市の案内)。
電気・ガス・水道・インターネット
| 手続き | 旧居 | 新居 |
|---|---|---|
| 電気 | 使用停止の連絡 | 使用開始の連絡。契約者をどちらにするか決める |
| ガス | 使用停止の連絡 | 開栓の予約。立ち会いが必要なことが多い |
| 水道 | 使用停止の連絡 | 使用開始の連絡(市区町村の水道局など) |
| インターネット | 解約または移転の連絡 | 開通工事の予約。開通まで時間がかかることがある |
二人とも一人暮らしからの同棲なら、旧居の停止はそれぞれが自分の契約について行い、新居の開始はどちらか一人がまとめて申し込むと重複しません。新居の光熱費を誰の名義で契約し、どの口座やカードから払うかもこの時期に決めておくと、引っ越し後の精算が楽になります。光熱費の分け方は二人暮らし・同棲の光熱費はいくら?で紹介しています。
郵便の転居届
郵便局に転居届を出すと、旧住所宛ての郵便物が新住所へ転送されます。日本郵便の転居・転送サービスによると、転送期間は届出日から1年間で、インターネットの「e転居」でも申し込めます。登録まで数営業日かかるため、引っ越しの1週間前までには出しておきましょう。転居届は旧住所ごとに出すものなので、二人ともそれぞれの部屋から引っ越す場合は、二人とも自分の旧住所について出します。
引っ越しの当日
- ガスの開栓に立ち会う:予約した時間に新居にいる必要があります。新居に先に入る方が立ち会うと決めておきます
- 電気・水道が使えるか確認する:ブレーカーや水道の元栓が閉まっている場合があります
- 旧居を明け渡す:鍵の返却と立ち会いの日時は、管理会社と事前に決めておきます
引っ越し後14日以内
転入届・転居届
新しい住所に住み始めたら、14日以内に新住所の市区町村に届け出ます。別の市区町村から来た場合は転入届、同じ市区町村の中で引っ越した場合は転居届です(住民基本台帳法第22条・第23条)。
転入届・転居届では、世帯主をどちらにするか、世帯主との続柄も届け出ます。同じ世帯にするか、それぞれを世帯主とする別の世帯にするかで、住宅手当や住民票の写しの記載が変わることがあります。書き方は次の節で紹介します。
マイナンバーカードの住所変更
マイナンバーカードを持っている人は、転入届・転居届と一緒にカードの住所の変更も行います。転入した場合は、転入届から90日以内に継続利用の手続きをしないとカードが使えなくなると案内されています(例:宮崎市の案内)。転入届と同じ日に済ませるのが確実です。手続きにはカードの暗証番号が必要なので、事前に確認しておきましょう。
国民健康保険(加入している場合)
勤務先の健康保険に加入している人は、勤務先に住所の変更を届け出ます。国民健康保険に加入している人は、別の市区町村へ引っ越すと加入の手続きが必要になるため、転入届と一緒に窓口で確認してください。
その後なるべく早く
| 手続き | ポイント |
|---|---|
| 運転免許 | 新住所を管轄する警察署や運転免許センターで記載事項の変更を届け出る。法律上は速やかに届け出ることとされている。マイナ免許証でワンストップサービスを申請している場合は、市区町村での住所変更で足りることがある(例:静岡県警察の案内) |
| 車検証(車がある場合) | 運輸支局(軽自動車は軽自動車検査協会)で住所の変更を届け出る。期限が決められているため早めに |
| 銀行・証券・クレジットカード | 各社のアプリやWebサイトで変更できることが多い。届出の住所が古いままだと、カードの更新や重要な通知が届かない |
| 携帯電話・保険・通販 | 保険は、受取人や契約者の住所もあわせて確認する |
| 勤務先 | 住所の変更、通勤経路、住宅手当の申請。期限は勤務先の規程による |
保険の受取人や補償の見直しは、同棲・結婚時に保険を確認する手順で整理しています。
転出届・転入届の書き方(同棲の場合)
同棲の届出で迷いやすいのが、新しい世帯主と世帯主との続柄の欄です。届出書の様式は市区町村によって違いますが、考え方は共通です。
| 二人の住民票の形 | 新しい世帯主の欄 | 続柄の欄 | 向いているケース |
|---|---|---|---|
| 別の世帯(それぞれが世帯主) | 自分の氏名 | 本人(世帯主) | 勤務先の手当の条件が「世帯主であること」など、二人とも世帯主でいる必要がある |
| 同じ世帯(相手が世帯主) | 相手の氏名 | 窓口で確認(「同居人」や「夫(未届)」「妻(未届)」など) | 生計を一つにしていて、続柄の記載を書類として使いたい |
続柄の書き方は、二人の関係と市区町村の取り扱いによって変わります。迷ったら空欄にせず、窓口で「同棲している相手と同じ世帯にしたい」「別の世帯にしたい」と伝えて確認してください。同一世帯と別世帯の違い、どちらを世帯主にするかの考え方は、同棲の住民票・世帯主はどうする?で比較しています。
届出の際は、本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証など)と、別の市区町村から引っ越す場合は転出証明書(マイナンバーカードでオンラインの転出届を出した場合などは不要)を持っていきます。代理の人が届け出る場合は委任状が必要になることがあるため、一人でまとめて届け出たいときは、事前に市区町村の案内を確認しましょう。
二人で手続きを分ける
手続きを「本人しかできないもの」と「どちらか一人でよいもの」に分けると、担当を決めやすくなります。
| 分類 | 手続き |
|---|---|
| それぞれ本人が行う | 旧居の退去連絡、転出届、転入届・転居届、マイナンバーカード、運転免許、銀行・カード・携帯電話の住所変更、勤務先への届出 |
| どちらか一人でよい | 新居の電気・ガス・水道・インターネットの申込み、ガスの開栓の立ち会い、引っ越し業者の予約 |
| 二人で決めてから行う | 新居の契約者・同居人、住民票の世帯の形、光熱費の契約者と支払い方法 |
担当と期限を決めたら、二人が見られる場所にリストを置いておきます。Futari Noteの共有ToDoリストに手続きを登録しておくと、終わったものにチェックを付けて、残っている手続きを二人で確認できます。
よくある質問
転出届はいつから出せますか?
住民基本台帳法では、転出届は原則として引っ越す前に出すものとされています。何日前から受け付けるかは市区町村によって違うため、今住んでいる市区町村の案内を確認してください。マイナンバーカードがあれば、マイナポータルからオンラインで出すこともできます。
二人一緒に役所へ行く必要はありますか?
必ずしも一緒に行く必要はありません。ただし、同じ世帯にする場合は、世帯主と続柄をその場で確認できるので、二人で行くと手続きがスムーズです。別の世帯にする場合でも、どちらかが代理で届け出るなら委任状が必要になることがあります。
お試し同棲でも手続きは必要ですか?
住民票を移すかどうかは、「同棲」という言葉ではなく、どこが生活の拠点になっているかで考えます。二人の部屋から毎日通勤・通学しているなら、転入届・転居届が必要です。判断の目安は同棲の住民票・世帯主はどうする?で紹介しています。
手続きを忘れていたらどうなりますか?
転入届・転居届は14日以内と決められています。過ぎてしまった場合も、気づいた時点で早めに届け出てください。郵便の転送が始まらない、運転免許の住所が古いまま、といった状態は、重要な書類が届かない原因になります。
まとめ
- 同棲の手続きは、役所・住所変更・ライフライン・会社と契約の4種類に分けて考える
- 1〜2か月前に、二人分の退去連絡と勤務先の住宅手当の条件を確認する
- 別の市区町村へ引っ越すなら引っ越し前に転出届、引っ越し後14日以内に転入届・転居届を出す
- 郵便の転居届は引っ越しの1週間前までに。転送期間は届出日から1年間
- マイナンバーカードの住所変更は転入届と同じ日に済ませるのが確実
- 転入届では、新しい世帯主と続柄を二人で決めてから届け出る
- 本人が行う手続きと、どちらか一人でよい手続きに分けて担当を決める
同棲を始めた後の生活費の分け方は、同棲の生活費ルールの決め方で紹介しています。