一人暮らしのときに住宅手当をもらっていた人が同棲を始めると、「同棲したら手当は止まるのか」「二人とも会社員なら両方もらえるのか」が気になります。
最初に押さえておきたいのは、住宅手当は法律で決まった制度ではなく、勤務先ごとのルールだということです。支給の有無も、金額も、条件も会社によって違います。この記事では、どの会社にも当てはまる答えを示すのではなく、自分の勤務先で何を確認すればいいかと、手当がある場合の家賃の分け方を整理します。
同棲すると住宅手当がなくなるとは限らない
厚生労働省の令和7年就労条件総合調査によると、「住宅手当など」を支給した企業は全企業の41.7%(令和6年11月分)、支給された労働者1人平均の支給額は1万8,700円でした。裏を返せば、全企業の半数以上は住宅手当などを支給しておらず、支給している場合も金額は会社によって違います。
同棲によって手当がどうなるかも、規程次第です。たとえば次のような違いがあり得ます。
- 世帯主であれば、同居人がいても支給される
- 賃貸借契約の名義人でなければ支給されない
- 配偶者や家族との同居なら対象だが、婚姻前の同居は対象外
- 同じ物件について二人が手当を受けることはできない
上記はあくまで規程の書き方の例で、特定の会社の内容ではありません。「同棲すると止まる」「止まらない」と決めつける前に、手元の規程を読みましょう。
なお、国税庁のタックスアンサーNo.2597では、住宅手当を現金で支給する場合は給与として課税されると説明されています。手当が2万円でも、手取りで増える額は2万円より少なくなることがあります。
最初に確認する4項目
手当の条件は、だいたい次の4つの組み合わせで書かれています。二人とも、自分の勤務先について確認してください。
| 確認項目 | 確認すること | 確認する書類・窓口 |
|---|---|---|
| 世帯主 | 住民票上の世帯主であることが条件か | 手当の規程、人事・総務 |
| 賃貸契約者 | 賃貸借契約の名義人であることが条件か | 手当の規程、賃貸借契約書 |
| 実際の家賃負担 | 本人が家賃を支払っていることを求めるか。折半の場合はどう扱うか | 手当の規程、人事・総務 |
| 婚姻・同居の条件 | 婚姻関係の有無、同居人の範囲、扶養の有無で条件が変わるか | 手当の規程、人事・総務 |
世帯主と住民票の関係は、同棲の住民票・世帯主はどうする?で解説しています。契約名義の決め方は同棲の賃貸契約者はどっち?で詳しく扱います。
二人とも住宅手当を受けられる?
これも勤務先の規程次第です。同じ部屋について、二人がそれぞれの勤務先から手当を受けられるかは、主に次の点で変わります。
- 二人の勤務先が別か、同じ会社か
- それぞれの規程が「世帯主」「契約者」のどちらを条件にしているか
- 同居人や配偶者が他社から手当を受けている場合の取り扱いが書かれているか
同じ会社に勤める二人なら、同じ規程が二人に適用されるため、同一物件での重複支給を制限する定めがあるかを確認します。別々の会社なら、それぞれの規程で判断されます。片方の会社の条件を満たすために住民票や契約名義を形式だけ整えるのではなく、実態に合った届出をしましょう。条件を満たさないまま申請すると、返還を求められる場合があります。
契約者はどちらにする?
住宅手当だけを理由に契約者を決めると、ほかの面で困ることがあります。契約者は、家賃の支払い義務、更新や解約の手続き、同居を解消したときの扱いなどに関わるからです。
手当がある場合は、次の順で考えると整理しやすくなります。
- 二人の勤務先の手当の条件を並べる
- 条件を満たすために必要な名義(契約者・世帯主)を確認する
- その名義で入居審査や今後の住み方に無理がないか考える
- 手当を受ける人と家賃を分担する方法を決める
手当がなくても、収入や勤続年数、将来どちらが住み続ける可能性が高いかで契約者を決める二人もいます。手当は判断材料の一つと考えましょう。
住宅手当を考慮した家賃分担
ここからは、説明用の試算例です。実在の会社の手当額ではありません。
- 家賃:月12万円(管理費込み)
- A:手取り25万円、勤務先から住宅手当2万円(手取り25万円に含む)
- B:手取り20万円、住宅手当なし
| 分け方 | Aが払う家賃 | Bが払う家賃 | 考え方 |
|---|---|---|---|
| 完全折半 | 6万円 | 6万円 | 手当はAの収入の一部として扱う |
| 手当を家賃に充ててから折半 | 7万円 | 5万円 | 手当2万円を家賃に入れ、残り10万円を5万円ずつ |
| 手取り比 5:4 | 約6万6,667円 | 約5万3,333円 | 手当を含めた手取りの比率で分ける |
完全折半は計算が簡単です。手当はAの給与の一部なので、Aが自由に使うという考え方です。
手当を家賃に充ててから折半する方法は、「住まいのための手当だから家賃に使う」という考え方です。Aの自己負担は5万円、Bも5万円で、二人の持ち出しはそろいます。
手取り比は、手当を含めたAの手取り25万円とBの20万円の比で分けます。収入差がある二人にとって、手元に残る額の差が小さくなります。
どれが正しいということはありません。決めたいのは、手当を「Aの給与」と見るか、「二人の住まいの費用」と見るかです。手当がなくなったとき(転職、規程の変更、引っ越しなど)にどう分担し直すかも、一緒に決めておきましょう。
契約名義を決める前の注意点
- 手当の条件だけで名義を決めない:入居審査、連帯保証人、今後の住み方も含めて考えます。
- 名義を後から変えられるとは限らない:契約者の変更や再契約が必要かは、貸主・管理会社に確認します。
- 申請の期限を確認する:入居日から一定期間内の申請が必要な場合があります。
- 家賃の振込元を確認する:本人の口座から家賃を払っていることを求める規程もあります。
家賃の上限そのものを考えるなら、同棲の家賃はいくらまで?で、手取りと固定費から決める手順を紹介しています。手当は将来変わる可能性があるため、手当がなくても払える家賃かも確認しておくと安心です。
勤務先に確認する項目
人事・総務に問い合わせるときは、次のように聞くと答えをもらいやすくなります。
- 住宅手当の支給条件(世帯主、契約名義、家賃の支払者など)
- 婚姻前の同居人がいる場合に、支給額や条件が変わるか
- 同居人が別の会社から住宅手当を受けている場合の取り扱い
- 申請に必要な書類(賃貸借契約書の写し、住民票の写しなど)
- 申請期限と、条件が変わったときの届出方法
- 結婚した場合に手当の種類や金額が変わるか
社宅や借り上げ社宅の制度がある会社では、住宅手当とは別のルールになっていることがあります。その場合は社宅・借り上げ社宅で同棲できる?も参考にしてください。
よくある質問
手当のことを会社に言わずに同棲しても大丈夫?
手当の支給条件に関わる変化(住所、世帯主、契約名義、同居人など)があったときに届け出る義務を定めている会社もあります。条件を満たさなくなったのに受け取り続けると、返還を求められることがあります。まず規程を確認しましょう。
手当をもらっている方が家賃を多く払うべき?
決まりはありません。上の試算のように、手当を本人の収入と見るか、住まいの費用と見るかで考え方が分かれます。二人が納得できる方法を選び、記録に残しておきましょう。
結婚したら手当は増える?
婚姻や扶養の有無で手当の額が変わる規程もあれば、変わらない規程もあります。結婚の時期が決まったら、手当と家族手当の条件をあわせて確認してください。
まとめ
- 住宅手当は勤務先ごとの制度。支給の有無も条件も会社によって違う
- 確認するのは「世帯主」「契約者」「家賃の負担」「婚姻・同居の条件」の4つ
- 二人とも受けられるかは、それぞれの規程と重複支給の定め次第
- 手当を「本人の給与」と見るか「住まいの費用」と見るかで、家賃の分け方が変わる
- 手当がなくなっても払える家賃かを確認しておく
手当を含めた生活費全体の分担は、生活費の分担シミュレーターで試算できます。