休職、転職、時短勤務、契約期間の終了など、同棲中にどちらかの収入が減ることがあります。理由は人それぞれで、二人のどちらにとっても予定外のことかもしれません。
収入が減った側は「いつも通り半分払わないと」と無理をしがちで、もう一方は「負担を増やすのはいいけれど、いつまで?」と言い出しにくい。この記事では、一時的に分担を変えるという考え方を中心に、二人で決めておきたいことを順に整理します。
50:50を維持する必要はない
生活費を折半していた二人でも、収入が大きく変わったときに同じ割合を続けなければならないわけではありません。折半は、二人の収入が近いときに分かりやすい方法の一つにすぎず、状況が変われば見直してかまいません。
大切なのは、負担を変えるかどうかを感情ではなく数字で確認することです。減った後の収入で、生活費と個人の支払いを続けられるのかを先に見ます。
最初に確認すること
現在の手取り
収入が減った後、毎月いくら手元に入るかを確認します。休職や転職の場合、給与の締め日や支払日の関係で、収入がゼロの月や半月分の月が出ることもあります。
住民税は前年の所得をもとに計算されるため、収入が減った年も前年分の住民税の支払いは続きます。社会保険料の支払い方が変わる場合もあるので、手取りだけでなく「これから払う予定のもの」も書き出しましょう。
利用できる給付等
収入が減った理由や加入している保険によって、確認できる制度が違います。たとえば次のようなものがあります。
| 状況の例 | 確認先の例 |
|---|---|
| 会社を辞めて次の仕事を探す | ハローワークの雇用保険の基本手当 |
| 業務外の病気やけがで仕事を休む | 加入している健康保険(協会けんぽの場合は傷病手当金) |
| 離職や収入減少で家賃の支払いが難しい | 厚生労働省の住居確保給付金(最寄りの自立相談支援機関) |
いずれも要件があり、対象になるかどうかは個別に確認が必要です。たとえば住居確保給付金は、主たる生計維持者が離職・廃業後2年以内である場合や、個人の責任・都合によらず給与等を得る機会が離職・廃業と同程度まで減少している場合などが対象で、収入や資産の要件もあります。勤務先の休職制度や、転職先の入社時期も確認しましょう。
貯金
収入が減った人の個人の貯金、二人の共通の貯金がそれぞれいくらあるかを確認します。どの貯金を使うかは後で決めるとして、まずは現状を把握します。
復職・転職の見込み
いつごろ収入が戻りそうか、見込みがあるかを共有します。見込みがはっきりしない場合は、「3か月後にもう一度話す」のように、次に話す日を決めておきます。収入が減った人の事情を細かく聞き出す必要はありません。家計に必要なのは、いつまで、どのくらいの金額で考えるかの見通しです。
一時的に負担割合を変更する
ここからは説明用の試算例です。
- 共通の生活費:月20万円(家賃・光熱費・食費・日用品など)
- これまで:A手取り25万円、B手取り25万円で折半(各10万円)
- 変化後:Bの手取りが12万円に減った
| 分け方 | 負担(A/B) | 負担後の残り(A/B) |
|---|---|---|
| 50:50のまま | 10万円/10万円 | 15万円/2万円 |
| 収入比 25:12 | 約13万5,135円/約6万4,865円 | 約11万4,865円/約5万5,135円 |
| 固定額(Bは月5万円) | 15万円/5万円 | 10万円/7万円 |
50:50のままだと、Bの手元に残るのは月2万円です。Bに個人の支払い(スマホ代、保険料、奨学金の返済、前年分の住民税など)があれば、足りなくなる可能性があります。
収入比は、二人の手取りの比率で分ける方法です。収入が変わるたびに計算し直せるので、収入が少しずつ戻る場合にも使えます。
固定額は、Bが払える額を先に決め、残りをAが負担する方法です。毎月の計算がいらず、Bにとって見通しを立てやすくなります。
Aの負担が増えることも忘れないでください。Aの手元に残る額が、Aの個人の支払いや貯蓄の予定に対して無理がないかも確認します。
「立替」か「負担変更」かを決める
Aが多く払う分を、後で返してもらう前提にするかどうかは、早めに決めておきたいポイントです。
| 扱い | 意味 | 例(固定額でBが月5万円の場合) |
|---|---|---|
| 立替 | AがBの分を一時的に払い、後でBが返す | 本来のBの負担10万円との差額5万円が、毎月Bの立替残高になる。6か月で30万円 |
| 負担変更 | 二人の分担割合そのものを変える。返済はしない | 差額は精算しない。収入が戻ったら分担を戻す |
立替にする場合は、返す時期や方法も決めます。返済が負担になって新しい生活を圧迫しないよう、少額ずつにするなど現実的な形を選びましょう。負担変更にする場合も、「いつ、どういう条件で元に戻すか」を決めておくと、Aが「このままずっと?」と不安になるのを防げます。
どちらにしたかを記録に残しておくと、後から「あれは返すものだったのか」で揉めにくくなります。立替の残高は、立て替え精算シミュレーターで計算できます。
いつ元の分担へ戻す?
元に戻す条件は、日付ではなく状況で決めると無理がありません。
- 復職して、元の手取りに近い金額の給与が2〜3か月続いたら
- 転職先の試用期間が終わり、手取りが分かったら
- 手取りが月○万円を超えたら、収入比で計算し直す
いきなり50:50に戻すのではなく、収入比の計算で段階的に戻す方法もあります。転職で収入が以前と変わった場合は、元の分担に戻すのではなく、新しい収入をもとに分担を決め直しましょう。
家賃が重い場合
賃貸に住んでいる場合、家賃は生活費の中でも金額が大きくなりやすい支出です。分担を変えても家計が回らない場合は、次の選択肢を比べます。
- 家賃の負担割合だけを一時的に変える
- 家賃以外の固定費(通信費、サブスク、保険など)を先に見直す
- 要件に当てはまれば、住居確保給付金の相談をする
- 住み替えを検討する(引っ越しの初期費用もかかるため、差額で回収できるかを計算する)
固定費の見直しは二人で固定費を見直す会議で、家賃の上限の考え方は同棲の家賃はいくらまで?で紹介しています。
貯金を取り崩す場合
貯金を使って当面の生活費を払う場合は、どの貯金を使うかを先に決めます。
- 収入が減った人の個人の貯金を使う
- 二人の共通の貯金(生活予備費)を使う
- 両方を組み合わせる
共通の貯金を使うなら、「月いくらまで」「何か月まで」と上限を決めておきます。結婚資金や旅行など目的のある貯金を取り崩すときは、目的の時期をずらすかどうかも一緒に話しましょう。目的別に貯金を分ける方法は、二人の貯蓄を目的別に分ける方法で紹介しています。
毎月確認する項目
収入が戻るまでの間は、月に一度、短い時間で次の項目を確認します。
| 確認項目 | 確認すること |
|---|---|
| 二人の手取り | 先月の実際の入金額 |
| 共通の生活費 | 予算と実績の差 |
| 負担額 | 決めた分担どおりに払えたか |
| 立替残高 | 立替にした場合の累計 |
| 貯金残高 | 取り崩した額と残り |
| 見通し | 復職・転職の予定、次に話す日 |
数字の確認だけにして、相手の努力や生活態度を評価する場にしないことが大切です。月1回の振り返りの進め方は、ふたりの家計を月1回振り返る方法を参考にしてください。
収入が月ごとに変わる働き方なら、フリーランスと会社員の二人暮らしで、変動収入を家計に反映する方法も紹介しています。
まとめ
- 収入が減ったら、50:50を続けるかどうかを数字で確認する
- 手取り、利用できる給付、貯金、見通しの4つを最初に確認する
- 分け方は収入比・固定額など。収入が減っていない側の負担も確認する
- 多く払う分を「立替」にするか「負担変更」にするかを決めて記録する
- 元に戻す条件は日付ではなく状況で決め、毎月確認する