「毎月いくら貯めるか」だけを決めて貯蓄していると、そのお金が何のためのものか分からなくなります。旅行に使っていいのか、急な出費のために残しておくべきなのか、二人の判断がずれる原因にもなります。
この記事では、二人の貯蓄を使う時期で三つに分け、それぞれの必要額と時期から毎月の積立額を逆算する方法を紹介します。銀行口座を三つ開く必要はなく、家計表の中で区分するだけでも管理できます。
貯蓄を三つに分ける
| 区分 | 使う時期 | 例 | 確認すること |
|---|---|---|---|
| 生活予備費 | いつでも | 収入が減ったとき、急な通院や家電の故障 | すぐに使える現金がいくら必要か |
| 近い予定 | 1〜3年以内 | 旅行、引っ越し、家電の買い替え | 見積額と支払日 |
| 将来の予定 | 3年以上先 | 結婚、出産、住まい | 実施するかどうかも含めて何を考えているか |
どの区分にも「誰にでも必要な最低額」はありません。二人の予定、収入、今あるお金から決めます。
1. 生活予備費
生活予備費は、収入が減ったときや急な出費に備えるお金です。目安として「生活費の3〜6か月分」と紹介されることがありますが、二人の働き方や収入の安定性によって必要な額は変わります。
- 二人とも会社員で収入が安定している場合は、少なめでも対応しやすい
- 一方がフリーランスで収入が変わる場合や、一方の収入に頼っている場合は、多めに用意すると安心
たとえば仮の計算で、二人の生活費が月25万円なら、3か月分は75万円です。最初からこの額を目指すのが難しければ、まず1か月分を目標にしましょう。手元資金が少ない状態で同棲を始めた二人の進め方は、手元の貯蓄が少ないまま同棲を始めるときの家計確認で紹介しています。
2. 近い予定
1〜3年以内に使う予定は、見積額と支払日が分かっているものが多いため、逆算しやすい区分です。
- 旅行:行き先と時期が決まったら、交通費と宿泊費を見積もる
- 引っ越し:更新の時期に合わせて、初期費用を見積もる
- 家電の買い替え:使っている年数と、壊れたときに買い替えたい製品の価格を調べる
旅行や家電など、年に何度かある大きな出費の決め方は、大型出費のときに揉めないための決め方ルールで紹介しています。
3. 将来の予定
結婚、出産、住まいなど、数年先の予定は、実施するかどうか、いつ頃かがまだ決まっていないこともあります。それでも、二人で考えていることを書き出しておくと、近い予定とのバランスを考えやすくなります。
見積もりは、予定が具体的になるたびに更新します。結婚に向けた貯め方は結婚資金を1年で準備する計算例で、出産に向けた準備は出産・育児に向けた家計の準備で紹介しています。
期限から毎月の積立額を計算する
毎月の積立額は、次の式で計算します。
毎月の積立額 =(必要額 − 今ある額)÷ 使うまでの月数
次は説明用の仮定です。二人の生活費は月25万円、貯蓄に回せる額は月5万円とします。
| 目的 | 必要額 | 今ある額 | 使うまで | 毎月の積立額 |
|---|---|---|---|---|
| 生活予備費(3か月分) | 75万円 | 30万円 | 24か月 | 18,750円 |
| 旅行 | 12万円 | 0円 | 8か月 | 15,000円 |
| 引っ越し | 24万円 | 6万円 | 12か月 | 15,000円 |
| 家電の買い替え | 6万円 | 0円 | 6か月 | 10,000円 |
| 合計 | 58,750円 |
この例では、合計が貯蓄に回せる5万円を8,750円超えています。
積立額が足りないときの調整
合計が貯蓄に回せる額を超える場合は、次の順で調整します。
- 時期を先にできる予定を延ばす:家電の買い替えを6か月後から8か月後にすると、毎月7,500円になる
- 予備費の期間を延ばす:予備費を24か月から36か月で貯めると、毎月12,500円になる
- 予定の金額を見直す:旅行の予算を下げる、引っ越しの時期を変える
- 予定そのものを見直す:今の時期に本当に必要か、二人で話し合う
上の例で1と2を行うと、合計は15,000円+15,000円+7,500円+12,500円=50,000円になり、貯蓄に回せる額に収まります。
「決めた積立額を必ず守る」ことより、毎月の生活を続けながら貯められるかが大切です。生活費を削りすぎて続かなくなるより、時期を延ばすほうが現実的なこともあります。
二人でどう貯めるか
貯蓄を二人でするか、各自でするかも決めておきます。
| 貯め方 | 内容 | 向いている目的 |
|---|---|---|
| 共通で貯める | 二人で決めた額を共通の口座などに入れる | 旅行、引っ越し、結婚など二人の予定 |
| 各自で貯める | それぞれが自分の口座で貯める | 個人の予備費、個人の予定 |
| 組み合わせる | 二人の予定は共通、予備費は各自 | 多くの二人に使いやすい |
共通で貯める場合は、どちらの名義の口座に入れるか、同棲を解消することになった場合にどう分けるかも決めておきましょう。口座の名義の決め方は同棲の共通口座は必要?で整理しています。
保管方法を考える
生活予備費と近い予定のお金は、必要なときにすぐ使えることを重視して保管方法を考えてください。投資商品には価格変動などのリスクがあり、使いたいときに元本を下回っている可能性があるため、貯蓄と同じものとして扱えません。
口座を分けるかどうかは、二人の管理のしやすさで決めます。
- 口座を分ける:目的ごとの残高が一目で分かる。口座の数が増え、管理の手間がかかる
- 一つの口座で家計表で区分する:口座は少なくて済む。残高のうち、どの目的の分がいくらかを家計表で管理する
見直すタイミング
次のようなときは、貯蓄の目的と積立額を見直します。
- 予定の見積額や時期が変わったとき
- どちらかの収入が変わったとき
- 予備費を使ったとき(使った分をいつまでに戻すか決める)
- ボーナスが支給されたとき:配分の考え方はボーナスの使い道を二人で決める手順で紹介しています
よくある質問
生活予備費と、近い予定のお金を同じ口座に入れてもいいですか?
入れても構いませんが、家計表などで「予備費がいくら、旅行の分がいくら」と区分しておきましょう。区分しないと、旅行の分を使ったときに予備費まで減っていることに気づきにくくなります。
将来の予定がまだ決まっていません。貯めなくていいですか?
決まっていなくても、予備費と近い予定を貯めた後に余裕があれば、使い道を決めずに貯めておく方法もあります。予定が具体的になったら、目的を決めて積立額を見直してください。
貯蓄の額は、二人で同じにするべきですか?
決まりはありません。生活費の負担割合に合わせて手取り比で貯める、二人の予定の分だけ同じ額にする、など二人が納得できる方法を選びます。
まとめ
- 二人の貯蓄を、生活予備費・近い予定・将来の予定の三つに分ける
- 毎月の積立額は「(必要額 − 今ある額)÷ 使うまでの月数」で計算する
- 合計が貯蓄に回せる額を超えたら、時期を延ばす、金額や予定を見直す
- 共通で貯める分と各自で貯める分を決め、解消時の扱いも話し合う
- 予備費と近い予定のお金は、必要なときに使えることを重視して保管する
二人のやりたいことの優先順位を整理するには、ライフイベント優先順位シミュレーターも使えます。